七福神巡りとは七福神が祀られた寺社を巡る新年の行事です。
七福神信仰は室町時代からありましたが、現在のような七福神巡りが盛んに行われるようになったのは江戸時代です。
そして、その創設者は上野東叡山の開祖、天海僧正と言われています。
天海僧正は7つの神々のそれぞれの徳を授かり、ますます幸せな生活が送れるようにと考え、七福神信仰を勧めてくださったそうです。
今回は、天海僧正が開いた東叡山寛永寺の不忍池辯天堂から始まる「谷中七福神巡り」のコースや御朱印、地図などをご紹介します。
谷中七福神めぐりの基本情報
谷中七福神めぐり開催期間・拝観時間
開催期間 | 1月1日~1月10日 |
拝観時間 | 9:00~17:00 |
谷中七福神一覧
七福神 | 社寺名 | 所在地 |
福禄寿(人望) | 東覚寺 | 北区田端2-7-3 |
恵比寿(正直) | 青雲寺 | 荒川区西日暮里3-6-4 |
布袋尊(大量) | 修性院 | 荒川区西日暮里3-7-12 |
寿老人(長寿) | 長安寺 | 台東区谷中5-2-22 |
毘沙門天(威光) | 天王寺 | 台東区谷中7-14-8 |
大黒天(富財) | 護国院 | 台東区上野公園10-18 |
弁財天(愛敬) | 不忍池辯天堂 | 台東区上野公園2-1 |
谷中七福神 地図
地図は各寺院でいただくことができます。また、田端駅改札前にも置いてありました。
所要時間・距離
【地図に記載されている時間】
福禄寿(東覚寺)
↓18分(約1㎞)
恵比寿(青雲寺)
↓2分(約0.1㎞)
布袋尊(修性院)
↓13分(0.7㎞)
寿老人(長安寺)
↓6分(0.3㎞)
毘沙門天(天王寺)
↓17分(0.9㎞)
大黒天(護国院)
↓21分(1.1㎞)
弁財天(不忍池辯天堂)
【実際にかかった時間】
田端駅北口
↓6分(約0.5㎞)
福禄寿(東覚寺)
↓12分(約1㎞)
恵比寿(青雲寺)
↓1分(約0.1㎞)
布袋尊(修性院)
↓7分(0.7㎞)
寿老人(長安寺)
↓7分(0.3㎞)※寄り道した
毘沙門天(天王寺)
↓11分(0.9㎞)
大黒天(護国院)
↓13分(1.1㎞)
弁財天(不忍池辯天堂)
↓5分(0.3㎞)
上野駅不忍口
東覚寺から不忍池辯天堂までの距離は約4.1㎞。
田端駅から七福神を巡り、上野駅までの距離は約4.9㎞です。
全部の所要時間はだいたい2~3時間ぐらいです。
谷中七福神は人気のため、参拝や御朱印をいただくのに時間がかかる場合もあります。
私は平日の9時に回り始め、待ち時間はほとんどありませんでしたが、一つ一つの寺院をゆっくり見ていたので田端駅~七福神巡り~上野駅まで2時間15分ほどかかりました。
色紙と御朱印
谷中七福神巡りでは、専用の手刷り和紙(版画紙)が用意されていてます。1枚1,000円になります。
こちらの和紙に各寺院で御朱印(押印)をいただくことになります。御朱印の初穂料は各200円です。
御朱印帳にいただく場合、初穂料は各寺院によって異なります。
ちなみに天王寺は300円、不忍池辯天堂は500円でした。
谷中七福神巡りスタート!!
江戸でもっとも古い歴史を持つ「谷中七福神巡り」。
谷中七福神巡りの順番は特に決まっていないので、どこから回っても大丈夫です。
田端駅から近い「東覚寺」、もしくは上野駅から近い「不忍池辯天堂」から始める方が多いと思います。
今回は田端駅から回りたいと思います。
JR「田端駅」北口改札を出ます。改札を出ると、目の前に谷中七福神巡りの地図が置いてありました。
英語の地図もありました。
最近は御朱印をいただく外国人の方、時々見かけます。
福禄寿(東覚寺)
時刻は朝の9時。それではスタートします!
ロータリーを左に進みます。
横断歩道を渡ったら、左へ進み高架下をくぐります。
そのまま進んでいくと、東覚寺への案内板がありました。
こちらの薬局のある角を右折します。
すると、右手に見えてきました。ひときわ目立つ「赤」が目印です。
左手の山門から境内に入ります。
正面に本堂があります。
こちらでは福禄寿さまが祀られています。
ご開帳されていて拝見することができました。
福禄寿は中国の神様で頭の大きさと胴体の大きさが同じと言われています。
招徳人望や富貴繁栄、健康長寿などのご利益があります。
御朱印は左手の客殿でいただくことができます。
和紙と福禄寿のご朱印料あわせて初穂料は1,200円です。
外側に地図が巻いてあり、輪ゴムでとめた状態でくださいました。
六日如来像。
先ほどの赤い紙がたくさん貼ってあるこちらの像は、石造金剛力士立像。通称「赤紙仁王」です。
寛永18年(1641)に造られたそうですが、当時江戸市中で疫病が流行り、それを鎮めるために造られたという説があります。
具合の悪いところに赤紙を貼れば病気が治ると信じられているそうです。
赤紙は先ほど御朱印をいただいたところでいただけます。
赤紙が貼られていない赤紙仁王の写真がありました。
めったに見ることはできないお姿でしょうね。
また、祈願成就した際に草鞋を奉納するそうです。たくさんの草鞋が吊るされていました。
駐車場には仮設トイレもありましたよ。
それでは、青雲時に移動します。時刻は9時13分。
恵比寿(青雲時)
東覚寺を出たら左へ。大きな通りまで来たら、右に進みます。
この界隈には大正から昭和にかけてたくさんの作家や芸術家が住んでいたそうです。
ファミマの方へ横断歩道を渡り、コープとファミマの間の道を直進します。ファミマの角にも「青雲時」への案内板が出ていました。
吉井接骨院を左折します。
左手に千歳湯が見えたら、そこを右折。
横断道を渡ってさらに直進します。
進んでいくと電柱に「青雲時参道」の看板があるので、ここを左折します。
9時25分、「青雲寺」に到着です!!
正面にある本堂に恵比寿さまが祀られていますが、拝見することはできませんでした。
恵比寿様は唯一の日本生まれの神様です。大漁豊作や商売繁盛のご利益があります。
左手の授与所で御朱印をいただけます。
参拝記念スタンプもあったので、押しました。
恵比寿様が持っている鯛のスタンプです。
それでは、修性院に向かいます。時刻は9時31分。
布袋尊(修性院)
元来た道を左に進んでいきます。
すると、ピンクの壁が見えてきます。
壁にはかわいらしい布袋様の絵が描かれたタイルがはめ込まれています。
荒川区出身の吉野健一氏による作品です。
9時32分、修性院到着です。
天正3年(1575)に谷中七福神の一つでもある感応寺(現在の天王寺)の第6世修性院日運上人によって開かれました。
修性院と妙隆寺(のちに修性院に合併)は境内にたくさんの花樹を植えていたため、江戸時代後期から「花見寺」と呼ばれ、江戸庭園名所として賑わったそうです。
だから壁がピンクなのでしょうか?
正面に本堂があります。
スノコの前で靴を脱ぎ、本堂内に入ります。
本堂内の左手に布袋尊が安置されています。
何とも言えない顔のとても愛嬌のある布袋尊像でした。
下谷七福神の寿永寺の布袋尊像も好きですが、こちらの布袋尊像も立派です。
実在の人物だからか、親しみが持てる尊像が多いです。
ぜひ実物をご覧ください。
日暮里の布袋様なので「日ぐらしの布袋」とも呼ばれるそうです。
布袋尊は七福神の中で唯一、実在の人物で良縁や子宝のご利益があります。
御朱印も同じく本堂の右手でいただけます。
こちらにもスタンプがありました。
それでは、長安寺に向かいます。時刻は9時39分。
長安寺
私はここで、地図に書かれているコースとは違う道で行ってしまいました。
でも距離はほとんど変わらないようです。
修性院を出たら左へ進み、修性院のピンクの壁に沿って進んでいきます。
すると、階段が現れます。この階段を上ると「富士見坂」です。
一度富士見坂を歩きたいと思っていたので、道を間違えて良かったです(;・∀・)
かつて富士山が見えたときの写真が飾られていました。
「かつて」と言いましたが、数年前にマンションが建ち、富士山は見えなくなってしまったそうです。
坂を上り切ったら右へ進みます。
右手に谷中銀座がある通りに出ます。
正面の花屋と石材屋の間の道を進みます。
途中、右手に観音寺築地塀がありますよ。
9時46分、長安寺に到着です。
長安寺は寛文9年(1669)に老山和尚により開かれました。
奥に進み、右手の本堂に履き物を脱いで上がり、お参りします。
中央には御本尊の千手観音菩薩が祀られています。
またこちらには、徳川家康が納めたとされる寿老人が安置されています。
等身大の寄木彫刻で、左脇に鹿が仕えた座像です。
寿老人は中国の神様で、延命長寿のご利益があります。
御朱印は本堂の右手でいただきました。
寿老人さまにお仕えする鹿のスタンプ。
本堂の向かいは墓地になっていて、本堂屋根の旧鬼瓦が置いてありました。
こちらには画家の狩野芳崖のお墓もあるそうです。
それでは、護国山天王寺に向かいます。時刻は9時53分。
毘沙門天(天王寺)
長安寺の向かいの道を谷中霊園に向かって進んでいきます。
ぎんなん通りを進んでいくと駐在所があるので、その十字路を左折してさくら通りを進みます。
駐在所の左奥には天王寺五重塔跡があります。
天王寺の僧侶の方に伺ったところ、五重塔再建は難しいようです。
10時、護国山天王寺に着きました。
正面に本堂があり、阿弥陀仏が安置されています。
右手には毘沙門天さまが祀られている毘沙門堂があります。
伝教大師作と伝えられる木像です。
毘沙門天さまは四天王の一つで、インドの神様。
祈る者に10種の福を授けると言われています。
商売繁盛や勝運、病気平癒といったご利益があります。
谷中七福神の御朱印は奥の上善堂という講堂でいただけます。
天王寺五重塔のスタンプでした。
境内には釈迦牟尼仏もいらっしゃいます。
それでは護国院に向かいます。時刻は10時22分。
色々お話ししていたためこちらの滞在時間が長くなりました。
閻魔様巡りも面白いですよと勧めてくださいました。
大黒天(護国院)
谷中霊園のさくら通りを進んでいきます。
神田白山線を進みます。
上野桜木交差点には左手に吉田屋酒店、右手にカヤバ珈琲があります。
横断歩道を渡り、そのまま直進します。
次の交差点を右折し進んでいくと、護国院が見えてきます。10時33分到着。
護国院大黒天は東叡山寛永寺の子院の一つで、東叡山が開かれたのと同時に建てられました。東叡山釈迦堂ともいわれます。
釈迦文珠、普賢の三尊像を安置してご本尊としたことから釈迦堂を名づけられました。
また3代将軍徳川家光から藤原信実が描かれた大黒天の画像が贈られ、それ以来その尊像が祀られ人々の信仰を集めています。
大黒様はインドの神様で、家門繁栄や富貴をもたらすといったご利益があります。
履き物を脱いで、お堂に上がります。間近で拝見することができました。
御朱印もこちらのお堂の中でいただけます。
それではラストの不忍池辯天堂に向かいます。時刻は10時45分。
弁財天(不忍池辯天堂)
左に進んでいきます。上野高校に沿って進みます。
清水坂を下ります。
途中、森鴎外居住跡の「水月ホテル」があります。
そのまま道なりに進んでいくと、右手に不忍池辯天堂が見えてきます。10時58分到着です。
谷中七福神巡りの期間なので、もう少し人が多いかと思いましたが、いつもとそこまで変わりませんでした。
正面に辯天堂があります。こちらに辯才天さまが祀られています。
弁財天さまはインドの神様で、唯一の女神様です。
学業・芸能の神様で金運上昇のご利益があります。
そして右手には大黒天堂があり、大黒さまが祀られています。
あれ、こちらにも大黒天?と思ったら、谷中七福神とは別に祀られているそうです。
こちらは参拝記念スタンプです。
御朱印は本堂前の仮設の授与所でいただけます。
七福神めぐり記念守りもありました。
これで七福神すべての印がそろいました!
時刻は11時7分。
ここまでの所要時間は2時間7分でした。
ここから上野駅不忍口までは5分ほどです。
今回は人が少なかったので、スムーズに進むことができました。ただ、私は一つ一つの寺院をじっくり見ているので、他の方より時間がかかっています。
三が日や土日は大変混雑すると思うので、もっと時間がかかるかもしれません。
比較的空いている9時から回り始めるのがおすすめです。
まとめ
谷中七福神巡りのコースや所要時間、御朱印などご紹介しましたがいかがでしたか?
私は、谷中七福神巡りをした日の夜に仕事の話が舞い込んできて、さっそくご利益をいただくことができました(*´▽`*)