カツサンド発祥の老舗とんかつ店「井泉本店」驚くほどやわらかいとんかつ！

上野界隈はとんかつの名店が集中しています。
その中でも、昭和5年創業の「井泉」のとんかつは「箸で切れるほど柔らかくておいしい」と、地元の人や観光客から人気を集めています。
今回はかつサンド発祥のお店としても有名な井泉をご紹介します。

昭和初期の風情を感じる井泉本店

訪れたのは日曜日の午後3時半ごろ。
この時間は閉まっているお店が多い中、井泉は11時半から夜まで通しで営業しています。
井泉本店があるのは湯島。
上野広小路駅や上野御徒町駅からほど近い学問のみちから1本入ったところにあります。
創業当時、このあたりは都内有数の花街で、「お座敷洋食の店」として愛されていたそうです。
周囲は時代とともにすっかり様変わりしてしまいましたが、井泉だけが下谷花街の面影を残しています。
新しめの建物が並ぶ中、趣のある佇まいの店が一軒。

暖簾をくぐり店内へ入ると、ランチタイムは過ぎているのに、たくさんのお客さんで賑わい、活気があります。

店内は厨房を囲むカウンター席やテーブル席、お座敷もあります。
1階のお座敷からは中庭が見ることができます。
また2階には、昭和30年代まで下谷の芸者さんたちが踊ったお座敷がそのまま残っています。
店内には、井泉が舞台となった「喜劇　とんかつ一代(東宝　1963年)」を撮影した時の写真や、下谷芸者衆の写真が飾られています。

私たちはテーブル席に案内されました。

おしぼりや割りばしの「井泉」の文字は初代の書体、そして二代目が考案したというおなじみの豚のマーク。
急須や湯飲み茶わんにも「井泉」の文字が書かれています。

お箸で切れるほど柔らかいトンカツ

「お箸で切れるやわらかいとんかつ」が売りの「井泉」。
戦前は柔らかい豚肉がなかったため、仕込み方法に研究を重ね、柔らかいとんかつが生まれたそうです。

ヒレカツ定食

井泉でもっとも人気のメニューは「ヒレかつ定食(1,730円)」
きつね色に揚げられたとんかつはサックサクで油切れも良いです。
中まで火が通ったお肉は柔らかく、旨味が凝縮されています。そして本当にお箸で切れますよ(^^♪

卓上に置かれたソース、塩、醤油、辛子などをつけてお好みでいただきます。
ソースは初代が考案した「井泉特製ソース」！
西洋料理というと「ウスターソース」が当たり前だった時代に、サフランソースの初代社長と井泉の初代によって考案されたのが「とんかつソース」です。
ちょっと甘めのソースはとんかつとの相性抜群です。
こちらのソースはお店でも販売しています。

盛り合わせ定食

いろいろ楽しみたい方は、「盛り合わせ定食(1,865円)」がおすすめ。
一口かつ、海老フライ、海老コロッケ、ほたてが一皿にのった豪華でボリューミーな定食です。

ロース定食

リーズナブルな「ロース定食(1,280円)」はロースにしては脂身が少なめで、胃もたれせずにいただけます。

定食には、ご飯、豚汁、お漬物がつきます。
豚肉、ニンジン、ゴボウ、ネギが入った豚汁はお肉と野菜の旨味たっぷりでとってもおいしいです。
豚肉は豚汁には珍しくサイコロ状にカットされています。

かつ丼

常連さんに人気というのが「かつ丼(1,280円)」。写真は「上かつ丼」です。
卵でとじた柔らかいとんかつと甘辛いつゆ、ご飯が最高の組み合わせ。

かつサンド

そして、この日もほとんどのお客さんがお土産としてお持ち帰りしていたのが「かつサンド」。
こちらもまた、柔らかく、シンプルなかつサンドです。
朝食はトーストに紅茶だった初代女将が、食パンにとんかつを挟んで手軽に食べられるようにしたらどうかと思いつき、「かつサンド」が生まれたそうです。
また、芸者さんたちの口紅がとれないように、またお座敷の合間に食べられるようにという初代女将の心遣いから、一回り小さい食べやすいサイズのかつサンドが誕生したそうです。

そんな初代女将の気配りが受け継がれているのか、帰り際、「寒いので気を付けてくださいね」と女性店員さんが声をかけてくれました。
さりげない声掛けが嬉しく、ほっこりした気分になりました。

井泉の店舗情報

店名	井泉本店
住所	東京都文京区湯島3-40-3
TEL	03-3834-2901
営業時間	平日11：30～20：50（LO 20：40）日・祝祭日11：30～20：30（LO 20：20）
定休日	水曜日（祝祭日営業）
席数	50席
喫煙・禁煙	分煙
公式サイト	井泉
地図